今週も作文です。
使わなきゃいけない単語は「オオカミ少年」「余裕」「手袋」
少年は育てた羊がすべてオオカミに食い尽くされ、悲しさと自分への怒りでいっぱいになり泣いた。村人たちに事の次第を説明しても多少哀れみの視線を向けた後「しかし、まあ、最初にうそをついたお前が悪い」と言って取り合ってくれなかった。
さらには「ざまーみろ」と笑う者たちもいた。」
少年は村人たちを恨んだ。
泣きながら山の上にある自分の家まで戻ってきて、羊の死骸を片づけようと飼育小屋に向かった。すると、小屋に入ろうとしたとき、小屋の中から知らない男がでてきた。
長身で顔は布や長髪に覆われていてよく見えなかった。
「ありゃ、手袋がすっかり血生臭くなっちまった」
「だ、誰だお前!?ここは俺の家だぞ」
「…あ、帰ってきたのか。ちょうどいい、ちょっと聞け」
その場に座るように男は手で合図をしたあと男は横の柵にもたれかかった。
「まず俺が誰かいう質問に答えよ」
「俺は、オオカミ使いだ」
「…オオカミ、?」
「ああ、今嫌な予感しただろ、その予感通りだよ。」
一呼吸おいて告げる。
「お前の君の羊を食ったのは、俺の狼たちだ」
「…ふざけるな!」
少年は壁に立てかけてあった木材をとり、男の殴り掛かった。
男はそれを苦も無く避け、余裕の笑みを浮かべる。
何度か避けたあと木材を掴み少年を制止させた。
「話は最後まで聞きなさい」
再び少年を座らせ話始める。
「お前の羊を襲わせたのは、お前に罰が当たったと思わせるためだ。
オオカミが出たなんていうくだらない嘘をついて村人たちを困らせた」
少年は何も言えなかった。
「そしてなんで俺がこうやってお前の前に現れたのかというと、お前にオオカミ使いになってもらうためだ」
「オオカミ使い?」
「どうせこの先どうかするあてなんてないんだろ?だったら俺のとこでオオカミの
使い方学んでみないか?」
「…なんでそんなことを…」
「今羊の養育に頼ってるこの村はオオカミの存在を過剰に恐れてる。
俺のオオカミたちも何匹か殺された。もしお前がオオカミ使いになって
オオカミを用心棒として使えることが証明できれば、オオカミは殺されなくて済む、
お前は村に戻れる。win-winの関係だろ?」
「…僕はあんな村に戻りたくありません」
「おいおい、それは逆恨みってもんだろ。まあ時間たてば戻りたくなるだろ」
男は手を差し出した。
「どうだ?」
「…お願いします」
少年は男の手をとった。
そこから少年はオオカミと悪戦苦闘して、ときにはケガもしながら着実に扱い方を覚えていった。特に小さかったこどもオオカミのロウとは無二の友達になった。
しかし、村人たちへの憎しみは消えなかった。
二年の月日がたち、少年はオオカミの使い方を一通り覚え、男のもとから出ることになった。
「ロウはお前になついてるしな、預けようかな」
「ありがとうございます」
「最後にオオカミで決して村人に危害を加えるようなことはするな。オオカミ好きの俺が許さん」
少年はなにも答えず、軽く会釈した後、ロウとともに出た。
昔の自分の家にはすでにちがう人が住んでいた。いまだにこの村は羊に頼っているようだった。
「よし、ロウ、やろうか」少年は合図を出し、その家の羊をすべて噛み殺させた。
「オオカミが出たぞ」少年はそう言いながら次々と村の羊たちを殺していった。
どんどんと進んで行くとオオカミ使いの男が前に現れた。
「危害加えんなつったろ」
「村人の皆さんに危害は加えてません。僕は彼らに羊が全員殺されたときの悲しみを味わってほしいだけです」
「なんでそんなふうに成長しちゃったのかなあ」
男は、オオカミを操るための口笛を吹いた。
「無駄です。あなたのオオカミはもう年老いてるはず。若いロウには勝てません」
「…弟子、師匠を超えずか…」
「え?」
ロウが突然体を上下に揺らしたかと思うとこちらに飛び掛かってきた。
「な、ロウ、ぐはっ」
肩を喰われる。
「残念だけど俺の方が上だったらしいな」
「うげっ ごふぇっ」
ロウが少年の肉体をどんどん食いちぎっていく。
少年が息絶えた後、ロウは動きを止めた。
「終わったか」
近くの物陰で怖がりながらその様子を見ていた村人に「大変お騒がせしました」と言って少年の肉片をロープで縛って背負ったあと家に戻っていった。
「よーし、お前ら。ちょっと臭いが、飯だぞ~」