漆黒 能代 sikkokunosiro’s diary

主に思い出を書いています。いつか現在に追いつきます。

プリティ会議

※初めに この話はフィクションです。実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。

 

ここはとある制作会社の企画部。机の上に大量の紙くずをほうりだし頭を抱えている男が一人。おや、誰か入ってきたぞ。

「あれ、日朝(ひあさ)、お前まだ残ってらのか。うわ、机散らかってるなあ」

「あ、深夜(ふかや)さんお疲れ様です。新作プルキュアの名前考えてるんですけど、いまいちしっくりこなくて。そうだ、ちょっと見てもらえますか」

「おん、全然いいけど。見るって何を」

「プルキュアって『HUGっと!プルキュア』とか『ヒーリングっどプルキュア』とか○○とプルキュアっていう名前がしっくりくるイメージがあったんです。だからその、○○とプルキュア、ていうのにあてはめていろいろ考えてみたんですが…例えばこんなのです」

まるで大喜利の回答かのごとくタイトルの書いた紙をばんっと見せる。

「『ずっとプルキュア』…とかどうですか」

「う~ん、悪くはないけどなあ。たしかにどこかしっくりこないかなあ。なんか他にないか」

「もちろんありますよ。『しれっとプルキュア』秘密の魔法少女感あっていいと思うんですけど…」

「いや、まあ、言いたいことはわかるんだけど…。『しれっと』っていう単語がプルキュアのかわいさと結びつかないんだよな。他はないか」

「『ぼさっとプルキュア』」

「なんか片手間にやりそうな気すんなこいつ。なんでぼさっとしてんだ。もっとやる気に満ちててくれよ」

「やっぱりだめですかね」

「というか平仮名でまとめることに拘る必要なくね。今までも『ハートキャッチプルキュア』とか『ハピネスチャージプルキュア』とかけっこう長い名前のが何個かあっただろ。もっと自由に発想しようぜ」

「ああ、そういえばそうですね。長くていいならけっこうありますよ。これどうですか。『テクノカットプルキュア』」

「怖ーよ。あの髪色で横刈り上げてたらめちゃめちゃ怖ーよ。日曜日朝に放送できるか。他にないか」

「『キットカットプルキュア』」

「他社の商品名入っちゃってるじゃねえか。そもそもどういうプルキュアなんだよ」

「いやその…プルキュアですし、街の平和より赤点回避が大事なときもあるかなと…」

「そんなリアルなの見たくないよ。・ほかほか」

「『マリーアントワネットプルキュア』」

「もう悪ふざけに行ってないか」

「決め台詞考えたんです。『悪者に襲われるのが嫌なら変身すればいいのに』」

「それができないから困ってんだろうがー!つぎだ」

「『タンクトッププルキュア』」

「おお、タンクトップとプルキュアがプの文字で融合しちゃったぞ。絶対音で聞いたらわからないやつじゃねえか、つぎつぎ」

「『コブラツイストプルキュア』」

「お前プロレス好きなのか。コブラツイストってあれだろ、相手しめあげるやつ。子供たちプルキュアが敵にプロレス技しかけてるのをどんな気持ちで見てりゃいいんだよ。だめ、次」

「『フライングチョッププルキュア』

「もうなんでもありじゃねえか。お前がやりたい放題やってるだけじゃねえか」

「次回予告でこれ流れたらそうとう面白いと思うんですけどね。『平和を乱す悪者には、私たちが飛んでいってチョップをかましてやるわ。次回、新シリーズ、フライングチョッププルキュア、乞うご期待』とか」

「いや、そりゃ面白いとは思うよ。実際テレビでそれ流れてきたら二度見のちガン見すると思うよ。でも、やっぱ一年続けること考えるとそれじゃあもたないと思うけどなあ」

「そうですか。ありがとうございました、もう一回練り直しますね。あ、そういえば深夜さんはたしか新作スーパー戦隊のタイトル考えてましたよね。あれはどうなったんですか」

「ああ、それがどうもしっくりこないんだよな。いちおう○○戦隊、○○ジャーの形にはしたんですけど」

「へえ、どんなのですか」

「『ふっくら戦隊、炊飯ジャー』」

「…練り直しましょう」