漆黒 能代 sikkokunosiro’s diary

主に思い出を書いています。いつか現在に追いつきます。

ふわふわ

昔々あるところに白之助という男がいました。彼はある日、ちょっと先でつくだけでなんでもふわふわにしてしまうという特殊な棒を手に入れました。彼は家に帰ってマシュマロをその棒でつついてみると、マシュマロがぼんっと音がを立てました。それを口に入れるともはやマシュマロとは思えないくらいにふわふわになっていました。「こいつはすげえ」白之助は妻と子供にも食べさせると二人は「おいしいおいしい」とパクパク食べました。そして通りすがっていきそうな旅人がいたので無理やり食べさせるとこれも反応がよかったので黒之助は店をだすことにしました。するとこの店は千里先の韓国人お殿様も食べにやってくるほどの大評判になりました。

ある日、彼がマシュマロを作っていると、それを気づかれないようにこそこそ見ている男がいました。白之助より前からマシュマロ屋を営んでいた黒太郎です。彼の店のマシュマロはもうほんと異常なほどしっけていることに定評があり、白之助がふわふわのマシュマロを売り出してからは全く売れなくなってしまいました。「くそう白之助め。俺の方が先だったってのに。そもそも昔々とか言ってるんだから西洋のものなんか売るなや。世界観をちゃんと考えてくれ。」白之助がマシュマロを作り終え、棒でつつきます。「ん、なんであいつはマシュマロを棒でつついてるんだ。お、マシュマロがさっきよりふわふわになったような気がするぞ。あの棒に秘密があったのか。」

黒太郎は白之助がいなくなったのを確認して、棒を盗んで急いでその場を離れました。「はあはあ、これで大儲けだ。」しかし、足もとの石ころに気づかずすってんころりん。棒も放して飛んでいってしまいました。「しまった。僕はどこに行ったんだ。」黒太郎はすぐに立ち上がりあたりを見回しますが見つかりません。すると黒太郎の頭に棒が降ってきました。

べしっ。「痛え。でも見つかったぞ。よかった。」ほっとしたのもつかの間。黒太郎は自分の顔に異変を感じます。「しまった、棒の先が顔にふれたんだ。俺の顔がふわふわになっちまう。」

そして黒太郎の顔はどんどんふくらんでいきます。「なんだこれは、ふわふわになるんじゃないのか。」顔が頭の二倍ほどの大きさまでふくらんだとき、足が地面と離れました。

そして、黒太郎はふわふわとどこかへ飛んでいきました。

いきがぽーんとさけた。