漆黒 能代 sikkokunosiro’s diary

主に思い出を書いています。いつか現在に追いつきます。

♪Melody-Memory

前回の記事でも少しふれたんですが文化祭で、合唱部の発表があります。三年生にとっては最初で最後の大舞台。練習にも熱が入ります。

歌う曲はAKB48の「365日の紙飛行機」とMISIAの「アイノカタチ」です。

男声が人数不足と力不足が問題でしたが。研究会という週に一回ある授業で音楽を選択した人も一緒に歌うらしく、男子が三人入ってくれたので助かりました。ただ、彼らは楽器を弾けると思って音楽研究会を選んだらしくて合唱にはあまりやる気がないみたいです。かなり感覚的な話になるんですが、合唱でハモリがうまくいくと音と音とがうまくぶつかり合い、ビリビリと振動を感じるんです。それが心と体を震え上がらせ合唱を素晴らしいものにしてくれると思います。しかしこの男子たちとやっているときはビリビリを感じない。まだ、遠いです。

放課後だけでなく昼休みも練習練習。みんなが集まるまでは待てないので来た人から開始です。だがあの男子たちは来ず。

週一の練習では成長が遅い。さらにやる気がないので練習中もペチャクチャしゃべっています。三年生の男子は筆者のほかにもう一人いるのですが…この方がおこおこ。合唱が好きな分まじめにやらない人が許せないんでしょう。

「ちょっとちゃんとやってよ。君たちが一番できてないんだよ、わかってる!?」と、なんか変な口調でかなり強めの檄。

これに、反抗期まっさかりの男子陣、ぶっちーン。両目の開き方に差が出るくらいに怒りが漏れ出しています。言ってきた男子をあからさまに睨んでいたので目の前で手をぶんぶんやって視線切らせようとしたら、なんか笑われた。その場は和んだのでよしとする。しかし不真面目なのは治りませんでしたー。全員の気持ちが一つになってないのに合唱なんてうまくいくんだろうか。

放課後も練習は増え、合唱は前のめりになって歌っていたのでふくらはぎが痛い。それでも発表会で部活も終わりだと思うともっとがんばらなきゃと思います。いい終わり方をしたいですからね。周りが暗くなるまで練習し、帰る時に同じ部活の人に「ばいばい」と言われて帰路につく。おお我こそ現在進行形の部活動生。満喫してます。

発表会前日。ステージに上がってリハーサル。ピアノを動かしている間に舞台裏に待機。客もいないのに緊張してきました。さあ、準備は整った。舞台に上がり、指揮者の手に合わせて足を肩幅まで開き、伴奏が始まります。音楽室に比べてかなり広くて音が響きづらい…ピアノの位置もいつもと違うのでタイミングがずれる。

リハーサルは、まあ、失敗でした。やっぱり響きがなれず、男子陣だけでなく部長クラスまでもうまく調整できてなかったように見えました。しかし、ここで失敗したことにより逆に本番に向けて全員の気持ちが引き締まりました。男子陣も目がキマッテタ。

さあ本番当日。気休めかもしれませんが「気合」と書いた紙をポケットにいれて文字通り”気合を入れた”状態にして緊張をほぐします。

朝、音楽室に向かうとソプラノの女子が一人、他の人は来てないみたいです。「気合」を入れてきたこと見せたら失笑されました。しばらくするとアルトの女子が一人来たので三パートでアカペラで歌いました。合唱部あるあるだと思うんですが三パート集まるとどこでもゴスペラーズ的なことができるのがいいところです。

発表会で意見作文が行われてる間も合唱部員は抜けて最終調整を行います。みんな昨日うまくいかなかったところをしっかり治してきていました。

さいごの作文が終わり、いよいよ合唱部の番。明るい光の当たる舞台に一歩一歩弾を踏みしめて舞台に上がっていきます。ピアノ、スタンバイok。発生準備、オッケー。指揮者の手がふりあがり、「365日の紙飛行機」の伴奏が始まります。歌は出だし勝負。ここで声が小さいとこのあと盛り返すのはほとんど不可能ーよしっ。声が出た。安定してる。さあ次のポイントはパート別に分かれて歌うところ。「人は思うよりも 一人ぼっちじゃないんだ」の「一人ぼっちじゃないんだ」は男性パートしか歌わないので歌詞に反して一人ぼっちになる現象がたびたび起こります。男性パートみんなで息を合わせなければーうんっ。ここも成功っ。いいぞ、このままー。二番が終わり、三番に向かいます。ここで三パートが「Ahー」とハモリ続け推進力を生みだす。しっとりとしたソプラノで入った後は全員の力を解放!「飛んで行け、飛んでみよう」でフィニッシュです。

拍手がやってきました。しかし演者はここで喜んで集中を切らしてはいけない。すぐに次の、最後の曲「アイノカタチ」の伴奏が始まります。

一曲目で感覚はつかんだので苦戦もなくスパンと声が出ます。サビに入る時も過去一番のビリビリで最高の仕上がり。ここでピアノの楽譜が風でめくれなくなるというハプニングが発生。横目で見てもわかる焦りよう。音はまだ安定してましたがパニック状態で演奏が乱れてくると合唱も崩れ、台無しになる可能性があります。何とかしてあげたいですが歌うことしかできない。「頼むーっ」という気持ちで合唱に集中していると、ピアノの人は覚悟を決めたように、楽譜を地面に投げ捨て、記憶で弾いていきます。絶対やりきるという強い意志を感じました。

最初は失敗しないようにと思って気を張っていましたが、もう、これで最後だということを考えると、楽しく終わりたいという気持ちが芽生えてきます。合唱部の思い出が頭をかけめぐるー。半強制的に決まった入部。ギャーギャーいいながらがんばった筋トレ。先生のおかしいたとえ。おんなじ部活の人に話しかけてもらったこと、カラオケの点数が十五点くらい上がったこと。いろんなことがありました。これで終わり。

Uhー

 

拍手を背中で受けながらステージから降りていきます。そして音楽室まで戻って、感想タイム。「あそこうまくだせた」「すごく緊張した」「楽しかった」。

ワイワイしてる後輩たちを見て、三年生たちはほほえみながら歌声のしみついた音楽室をあとにするのでした。