漆黒 能代 sikkokunosiro’s diary

主に思い出を書いています。いつか現在に追いつきます。

あの子は無事に帰れたかしら…(保護者目線)

高校入学から二週間ほど経過。まわりはぼちぼち話し始めながらもまだ友達とは言えない程度のよそよそしさは残っている様子。そんな心の壁を砕く行事がやってきます。

それは登山。そう山に登る、登山。みんなで山に登り絆を深めるらしいです。高校最初の行事なので勝手がわからないところも多く「?」を頭に浮かべたままでいると偶然生徒と担任のミニ面談があり、なんでもわからないことあったら聞けよ、と言われたので登山の質問をしました。先生は「今?」と笑いながら答えてくれました。

当日。現地集合だったので乗りなれてませんが電車で行きました。不安でしたが無事に到着。すでにだいぶ人がおり、というか遅刻気味に来てしまったようで着いたらすぐ出発でした。山は思ったよりも険しく、いつの間にか道を間違ったようでガードレールを何回かまたいでいきました。途中で休憩中、ちょっと身を乗り出して景色を見ているとなんだか指さされているような気がする。危ないことやってると言われたのだと思い、少し下がりました。あとで聞いたところ、登山きついのにまだあいつマスクつけてる、すご!と言っていたらしいです。

二時間ほどかかって山頂の広場に到着。天候にも恵まれ、絶景に疲れが吹き飛ばされました。記念撮影のあと、いったん昼休憩で自由行動。だいたいの人は仲間同士でかたまってお弁当を食べていましたが、さあ、独り身はどうしようかな。うろうろと場所を探していると声をかけられました。「ねえ、君誰か一緒に食べる人いる?俺ら一緒に食べる人いない同士で食べてるからよかったら来ない?」な、なんだその悲しい集まりは…

入れてもらいました。形だけは集団であるもののよく知らない人同士なのでみんなもくもくと自分の弁当をほうばってすぐ解散しました。

再びうろうろしているともと合唱部仲間の人が三人集まっており、こちらに気づくと、「一緒に歌わん?」と言われました。山頂でまさかのアカペラ開始。中学のころ発表会にむけて練習していた「365日の紙飛行機」と「アイノカタチ」を歌いました。うまくできたかわからなけど楽しかった。

下山。油断大敵。すべって落ちるなんてことないようなしなければ。半分くらいまで降りてきて道路にでたところで消防車が隣を通って、山を登っていきました。このときはあまり気にせず、ふざけて「誰か落ちたんやないん」と言って笑っている人もいました。しかしまたしばらく降りて行ったところで今度は救急車と消防車が追加で二台入っていきました。これはさすが笑えなくなってきた。先ほど冗談を言っていた人もこれには「ガチで人落ちたんやないん…?」と不安をあらわにしていました。結局のところ何があったかはわかりませんでした。とくに事故の情報は出てないので何事もないといいんですけど…

帰りの電車を駅で待っているとさっき一緒に歌った白畑さんが話しかけてきました。他にも二人女子がいました。同じ方向に帰ることを伝えると、三人のうち二人は一個前の駅で降りるけど一人はもう一駅分乗らならないといけないらしく、電車のことがよくわからないから先導してくれないかと言われました。ちょうど同じ駅で降りる予定だったので快諾。とはいっても乗ったらやることないし、導くことなんてあるかな。しかしこの子、瀬山さんが、電車のことよくわかってないとか言うレベルじゃないくらいにわかってなかった。電車は席が空いておらず、入り口のドア付近にうまく収まったものの、女子三人とはぐれてしまいました。そのまま何駅か揺られ、最初の二人が降りる駅に到着。降りる人が多かったのでいったん降車し人が出終わったら入る行動をとることに。しかしこれがまずかったのか瀬山さんも降りてきてしまった。しかも降りたドアのすぐ横にこにいる筆者に気づかず人に流されるまま駅から出ようとしていたので、久しぶりにちょっと大きな声をだして連れ戻しました。

電車が発車する前になんとか戻れたことにほっとしながらもう一駅分行くんだよと教えてあげました。本当に電車に乗りなれてないらしい。降りる駅に到着したときも、「ここ…だよね?)のように自信なさげに駅舎を指さしていました。うんそうだよとうなずいて電車を降りましたが今度は「改札ってどこかな?」といいだし、おい、今日そもそもどうやって来たんだよ!と思わず心の中でツッコんでしまいました。

人としゃべるのが苦手なので今まで同級生はなんとなく上に見てしまうことが多かったですが今回は初めて自分より弱い人間なんだという認識で接しました。(決してばかにしているわけではなく)

改札を出て別れるとき心から「気をつけてね」と思った。